JAPAN TEXTILE CONTEST 2021 最終結果(上位賞)

2021.11.01 お知らせ

 ジャパン・テキスタイル・コンテスト2021

一般の部

  

グランプリ

 究極のヴィーガン・レザー

大江 康夫 ㈱大江 京都府与謝郡与謝野町

今回のコンテストは力作が揃っており、僅差で検討し合う審査会でしたが、そのなかでも満場一致でこの素材がグランプリに選ばれました。全体の中で斬新さが飛び抜けていたと思います。
シルクを使った作品が多い傾向でしたが、このシルクをベースにした作品は新しい視点が加わることで、良い意味でシルクらしさを打ち破り、新鮮な仕上がりとなっていました。
シルクにラミネート加工することでニュータッチを生み出しており、さらに防水機能も備わっています。
SDGsの観点からファッション業界でも合皮の積極的な活用が広まっていますが、シルクベースの合皮ライクの発展は新しく感じます。
また、原木染めによるシャンパンゴールドは洗練された新時代の始まりを予感させる上品さを感じます。木による天然の抗菌、消臭作用も備わっています。
天然素材を活かしながら、美しさと多機能性のハイブリッドアイデアの進化には、未来の製品への期待感が宿ると思います。

 

審査員長 ㈱KAJIHARA DESIGN STUDIO 梶原 加奈子

素材  Si=100%,ラミネート=100%

  

準グランプリ

ニット?

小塚 康弘 小塚毛織㈱ 愛知県一宮市

布帛でニットを表現しているテキスタイルは多く見られますが、ニットから離れた表情に着地する事がほとんどだと思います。
その中でこの作品はヨコ糸に三子撚のループヤーンを使用する事で敢えてニットに表情を寄せ、その独創性を発揮させている点に惹かれました。
ニットでは表現出来ないメリハリの利いた柄表現や独特の張り感を持ち、同時にローゲージのニットが持つテクスチャーの迫力もしっかり持ち合わせています。
ニットに表情を寄せたことで布帛カテゴリーだけではなくニットカテゴリーのアイテムへの使用も可能にし、またニットではあまり使うことの無いカッティングデザイン(型紙での造形)をニットアイテムに持ち込む事も可能にしています。
ニットと布帛の違いを理解しつつ双方の魅力を交差させた素晴らしい作品です。

 

審査員 ㈱AKIRA・NAKA 中 章
素材  W=100%

  

新人賞

Chameleon Pique PT

滝 彩華 タキヒヨー㈱ 愛知県名古屋市
緯糸をカッチングする前のコール天によって生まれる独自の触感、そして角度によって見え方が変わる意匠性を高く評価しました。
季節性、トレンド性が高いコール天をあえて未カットにすることで汎用性を高めた発想が非常に面白いと感じました。天龍社産地でそのほとんどが生産されている日本のコール天は現在苦境が続いています。
今回の作品が日本のコール天産業にとっても一つの良い兆しになることを願っています。
滝さんが今後も繊維産地と協働して、素晴らしいテキスタイルを生み出し続けられることを期待しています。
おめでとうございます。

審査員 国際ファッション専門職大学 篠原 航平
素材  Pe=73%,C=25%,Pu=2%
  ※新人賞:35歳未満の製作者の作品が対象

  

エコロジー賞

バイオマスプラスチック糸のジャガードプリーツ

徳本 幸紘 京都府織物・機械金属振興センター 京都府京丹後市

近年バイオマスプラスチック素材の品質、バリエーションが飛躍的に向上していますが、日々アップデートされる素材の特性と向き合いながら、開発を進める事は非常に重要かと思います。
コンテストは市場性だけではなく、独自性や将来への可能性への評価の場として、機能できればと考えております。本作品は、他のエコロジー対象作品がオーガニックやリサイクルを軸に企画を進めるなかで、新しい技術と向き合った点を高く評価致しました。
糸の強撚加工とバイヤス状の2重ジャカード織が生み出す独特のシャリ感、有機的なシワ感、したて栄えしそうなハリ感なども高評のポイントとなっています。

 

審査員 ㈱CFCL 高橋 悠介 
素材  PLA=100%

   

イノベーション賞

LIGHTWEIGHT 3.5LAYER FABRIC

中島 祥皓 丸井織物㈱ 石川県鹿島郡中能登町

非常に軽量でありながら、透湿防水性も兼ね揃えた機能性、そして美しいシアー感といった意匠性を高く評価させていただきました。
目付が48g/㎡であるので、100gをきる世界最軽量レベルの防水シェルなどを作ることが出来ます。
一方で美しい透け感はアウトドア用途に止まらない、ファッション用途など広い汎用性が期待できます。
コロナ禍を経て益々高まるアウトドア需要だけでなく、プリントによるデザイン性により、ファッション用途としても十分な訴求が出来ると考えます。

 

審査員 国際ファッション専門職大学 篠原 航平 
素材  N=100%

   

エモーショナル賞

KUSKA レザーテキスタイル

楠 泰彦 クスカ㈱ 京都府与謝郡与謝野町

今回新しく登場したエモーショナル賞では、人々の心が動き、社会を刺激し、未来を作っていくような力強い作品を選んでいければと思いました。
この作品の背景にある着物産地の伝統を引き継いだ活動や、手織りを活かしながらテクノロジーの発展を意識している点など、思想や技術の進化に感銘を受けました。
西陣織の技術でもありますが、扁平糸を表裏に返らず織っていく方法が活かされて籠のようなクラフト感あるデザインが魅力的でした。
レザーは様々な太さにカットして織り込まれており、均等にしていないバランス感もオリジナル性があったと思います。
モダンで上質なインテリア素材としても可能性を感じました。

 

審査員長 ㈱KAJIHARA DESIGN STUDIO 梶原 加奈子 
素材  レザー=100%

  

 

JAPAN TEXTILE CONTEST 2021 一般の部 上位賞

JAPAN TEXTILE CONTEST 2021 一般の部 優秀賞

JAPAN TEXTILE CONTEST 2021 学生の部 受賞作

JAPAN TEXTILE CONTEST (JTC) official page

JAPAN TEXTILE CONTEST (JTC)過去の受賞作品

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テキスタイルのクリエーションの顕彰を通して「次代のテキスタイル産業を担う人材の発掘・育成」、「テキスタイル産業における技術力、デザイン力、マーケティング力の強化」を目指しているジャパン・テキスタイル・コンテスト、その歩みは、1991年開催の「国際ファッション&テキスタイルウィーク'91―FATEX '91」に遡ります。
それから12年後の2002年、ジャパン・テキスタイル・コンテストは、装いも改め、新たなスタートをきりました。