インパナ塾
IMPANNA SCHOOL
(公財)尾州ファッションデザインセンターでは、繊維産業人材育成事業の一つとして、「尾州インパナ塾」を開講しています。
関連する大学、あいち産業科学技術総合センター尾張繊維技術センター、FDC 匠ネットワーク等と連携を図り、産地の将来を担う人材の育成を目指しています。
紡績・撚糸、企画・製織、染色・仕上からなる繊維工学、ファッション・デザイン工学、マーケティングの座学、実習、工場見学に加え、
卒業制作としての試作開発実習を実施します。

尾州インパナ塾試作開発作品
IMPANNA SCHOOL PROTOTYPE
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グループA
GroupA
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グループB
GroupB
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グループC
GroupC
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グループD
GroupD
グループA
GroupA
コンセプト | 木曽川・川や水のきらめき・エネルギーの源の融合 |
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ターゲット層 | 20~50代 |
番手 | タテ:2/48 ウール100% ヨコ:2/48 ウール70% ポリ乳酸30% |
生地データ | 密度 タテ:228本/10cm ヨコ:220本/10cm 目付 220g/m² |
混用率 | ウール85% ポリ乳酸15% |
生地制作意図
尾州産地の水源である木曽川を意識した「曲線」、川や水のきらめきを意識した「 5つのダイヤ」、エネルギーの源である「炎」の3つのモチーフをデザインに取り入れました。環境配慮を重視し、ポリ乳酸(PLA)を活用しようと企画しましたが、整経や耐熱性に課題がありますので、タテ糸にはウール2/48、ヨコ糸にはウール70%ポリ乳酸30%の混紡糸2/48という糸使いにしました。ジャガード織機を用いることで「曲線」「5つのダイヤ」「炎」の3つのイメージを柄として表現し、さらにSDGsや環境に対する思いをデザインにしたいと考え、直線的なラインではなく、アナログ・手書き風のラインの柄に仕上げました。それぞれの柄に異なる織組織を入れ込み、凹凸感を引き出し、タテ方向に方向性のある生地を製織しました。ウールとポリ乳酸の染色性の違いを利用し、ジェンダーレスなチャコールグレーを実現しました。
製品制作意図
カジュアルな普段着としてのジャンプスーツを目指しました。作業着やつなぎのイメージを排除するため、襟やポケット、エポレット、袖などのディテールにこだわりました。胸元や足元のポケットに柄を活かし、ベルトを用いて着崩しやすいデザインを取り入れました。
試験結果
JIS L 1096 8.39 プレス処理法 H-2法(蒸熱オープン法) タテー0.2% ヨコー0.5%
ピリング JIS L 1076 7.1 ICI形試験法 3.5級(ピルの脱落あり)
グループB
GroupB
コンセプト | 岐阜の長良川鵜飼を生地で表現 |
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ターゲット層 | 30~50代 |
番手 | タテ・ヨコ共通 2/48 ウール70% ポリ乳酸30% |
生地データ | 密度 タテ:264本/10cm ヨコ:256本/10cm 目付 253g/m² |
混用率 | ウール70% ポリ乳酸30% |
生地制作意図
生地のコンセプトは「長良川鵜飼」です。右綾カルゼ組織の「斜文織」と絡み織りの紗を模した「模紗織」の2つの織組織を組み合わせることで、変化と透け感を加えた点が特徴です。「斜文織」で「長良川の波打つ感じ」を、「模紗織」で夏らしい透け感を表現し、鵜匠の漁服と網をイメージしました。グランドカラーのネイビーは夜の長良川を、オレンジ色のストライプは長良川の水面(みなも)に映る鵜舟のかがり火を表現しています。 ウール70%・ポリ乳酸30%の2/48の糸で、ポリ乳酸は染色せず、ウールだけを染める「片染め」の手法で濃色の限界に挑戦しましたが、希望の濃度には達せず柔らかく優しい色味になりました。仕上がった生地は毛羽を活かし、柔らかな風合いを特徴としています。
製品制作意図
「ジャケットに苦手意識がある人でも着たくなる」を目標に、カジュアルなSS用メンズジャケットとして企画しました。背抜き仕様で肩パットを省き、軽やかで気軽に羽織れるデザインに仕上げました。アウトポケットや袖口の重ねボタンで遊び心を加え、バインダー始末に使用するテープには糸の色に近いものを選び、自分だけが楽しめるディテールを演出しました。
試験結果
引張強さ
JIS L 1096 8.14.1 A法 タテ421N ヨコ389N
引裂強さ
JIS L 1096 8.17 D法 タテ30.6N ヨコ27.3N
滑脱抵抗力
JIS L 1096 8.23 B法 タテ1.6mm ヨコ1.5mm
寸法変化率
JIS L 1096 8.39 プレス処理法 H-2法(蒸熱オープン法) タテー1.2% ヨコ0.2%
グループC
GroupC
コンセプト | エコを意識した生地 |
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ターゲット層 | フリー(ユニセックス) |
番手 | 30/2 ポリ乳酸100% 1/14 ウール100% <1/14リングヤーン> 150d ポリ乳酸100% 1/48 ウール70%ポリ乳酸30% |
生地データ | 密度 ウェール:36本/10cm コース:48本/10cm 目付 415g/m² |
混用率 | ウール66% ポリ乳酸34% |
生地制作意図
プラスチックの使用が社会問題となっている現状を踏まえ、石油由来の合成繊維は使用せず、自然由来の原料から作られた糸を使用しました。「150dポリ乳酸糸」を芯と押さえにして、浮き糸に「ウールとポリ乳酸の混紡糸」を撚糸し、1/14 リングヤーンを作成しました。このリングヤーン・紡毛・ポリ乳酸繊維を組み合わせて、タテ方向に伸び縮みが少なく安定性のあるニット生地が製造できる「タテ編みのダブルラッセル機」(国内に数台しかない編み機)で編みました。リング状の糸と紡毛糸とが表側に出るよう企画することで、ポップコーンの質感と暖かさを表現し、裏側にはポリ乳酸繊維を出すことで強度を持たせました。さらに、縮絨によるウールとポリ乳酸繊維の収縮特性を利用して「ポップコーン」の質感を再現しました。生地に動きを出すために低温で染色可能なエコロジーな草木染め(ムラ染め)を採用しました。この手法により、柔らかさと暖かさをさらに向上させ、絞り染めを加えることで製品に動きと表情を持たせることができました。
製品制作意図
ムラ染めの暖かみのあるニット生地を用いて、動きのあるフレアコートに仕上げました。「タテ編みのダブルラッセル機」を使用したことで、タテ方向の安定性とヨコ方向の伸縮性を両立し、布帛では得られない独特のシルエットを持つ服作りが可能となりました。着心地の良さと柔らかさを実感できる製品を完成することができました。
試験結果
JIS L 1096基準
C形基準洗濯機 C4H吊 タテ -2.5% ヨコ -3.5%
蒸熱オープン法 H-2法 タテ -2.0% ヨコ 0%
グループD
GroupD
コンセプト | ポップコーン |
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ターゲット層 | 乾き始め |
番手 | タテ・ヨコ1/60ウール100%×1/40ポリ乳酸100%×20dポリウレタン100% |
生地データ | 密度 タテ:160本/10cm ヨコ:115本/10cm 目付 175g/m² |
混用率 | ウール51% ポリ乳酸45%ポリウレタン4% |
生地制作意図
トウモロコシ由来のポリ乳酸を使い、「ポップコーン」をテーマに生地を開発しました。熱によって弾けるポップコーンから「固い考えも形も何かのチャンスで変われる」というメッセージを込めています。ポリ乳酸の耐熱性が低いという特性を逆手に取り、熱加工で生地表面にポップコーンのような凸凹を生み出しました。ウールは「クリンプ」というクネクネした形状で空気を多く含むため暖かく柔らかいです。この特性とポリ乳酸が環境に優しいという点を組み合わせました。撚糸工程で熱で縮みにくいウールと縮みやすいポリ乳酸に伸縮性があるポリウレタン糸を撚糸し、織りあげた後で熱加工を加えることで収縮する部分としない部分との収縮率の違いを活かして生地に立体感を与え、ポップコーンのイメージを表現しています。ポップコーンのような生成り色を採用し、染料を使用しませんので環境負荷が小さくなっています。この生地はまさにポップコーンそのものです。ぜひ、その本質をご賞味あれ。
製品制作意図
歳を重ねると保てる水分量が減ってしまう…熱量も高くならないしということで「年齢や体型を問わず、誰もが自信を持てる服」を目指しました。「弾けられない」なんて言わせません。この服を着て若々しい気持ちで自信を持ち、輝いてください!
試験結果
寸法変化率
JIS L 1930 C型基準洗濯機 C4Hつり干し乾燥 タテ3.0% ヨコ4.0%
JIS L 1096 8.39プレス処理法 H-2法(蒸熱オープン法) タテー3.5% ヨコー3.0%