Interview with
尾張工業用水道協同組合 理事長
早川 典雄(森保染色㈱取締役社長)
今回は、尾州産地の品質を支える木曽川の水について取材をしました。
インタビューを通して、産地内の企業がどれだけ大切に水や資源を大切に使っているかも見えてきました。
尾張工業用水協同組合について教えてください。
テキスタイルの風合いや色合いの良さを決めるのは水の質です。
水道用水管理のために尾張工業用水協同組合が作られ、きめ細やかな管理を行っています。
クリーンな用水を供給すべく、給水管の清掃事業も行っています。
木曽川の水について教えてください。
一級河川の中で日本一硬度が低く、繊維産業にうってつけの軟水となっています。
軟水のミネラル量では仕上がりが柔らかくしなやかな風合いになり、洗剤や染料の使用量を抑えられ排水もきれいです。
木曽川の水の管理はどのようなシステムの上で成り立っていますか。
産地の染色、整理及び紡績工場からの排水を処理するため、尾西地方特定公共下水道事業「特水」が昭和46年度から開始されました。
「特水」は下水処理場と工場を結ぶ専用の下水管を配置した工業用水の処理場です。
工場まで伸びる排水処理システムは全国でも稀で、河川の環境衛生を保つために厳しい基準の元で水質管理が行われ、繊維産業の発展に寄与しました。
早川理事長は染色加工企業の社長でもあります。
尾州産地の染色加工業の水や環境に対する取り組みを教えてください。
染色加工時には余剰な蒸気や熱が発生しますのでそれらの再利用を行っています。
また、染色方法にも工夫を凝らし、環境負荷を出来るだけ減らしています。
蒸気の再利用方法について教えてください。
スチームトラップ呼ばれるもので、染色加工時に発生する余剰な蒸気を回収し、温水として再利用しています。
工場の外にあるタンクも何かを再利用するためのものでしょうか。
冷却水を回収するタンクです。
冷却水はタンクに回収し、温水として再利用しています。
その他に熱の再利用についての工夫はありますか。
こちらは熱交換器です。
高温廃液水の熱を利用して温水化を行い、染色などに再利用しています。
染色方法での工夫を教えてください。
水と染料の使用を少なくした低浴比での染色加工をしています。
組合を取り巻く環境とこれからについてお話しください。
燃料費の高騰、円安と厳しい経済環境となっていますが、各種政策による景気の持ち直しに期待しています。
これからも、木曽川の水を大切に利用しながら、尾州産地と共に歩んでいきたいと思います。