【BISHU-VOICE】装苑賞と翔工房

interview with

国際ファッション専門職大学

大下彩楓

 

装苑賞の受賞おめでとうございます
受賞についてコメントをお願いします

会場で名前が呼ばれたときは驚きました。高校生の頃から憧れていた装苑賞に自分が選ばれたのかと思うと信じられませんでした。

しかし、舞台上で賞状やトロフィーを受け取っていくうちに少しずつ実感が湧いてきて、今は本当に嬉しく思っています。

 

受賞作品「音戯(おとぎ)」のコンセプトを教えてください

もし音が目に見えたなら、という音の可視化がコンセプトです。駅のホームで電車を待っている時に、イヤホンから聞こえる音楽越しに外の音が透けて聞こえてきたことに意識が向いたことがきっかけでした。

そこから考えた私の空想の中では、音はふわふわと空間を漂っていて透けて重なって形を変える軽いものというイメージでした。その軽やかな透けた感じを服のデザインに落とし込みました。

 

製作にあたって苦労した点を教えてください

音の透けた感じや重なりを表現するために、黒のチュールで陰影をつけたのですが、人が着て動きが加わったり見る角度を変えると陰影の濃さや形が変わるよう、かつ美しくみえるよう試行錯誤を重ねた点です。

 

受賞までのプロセスの中で新たに得たものはありますか

コンセプトを大切にしながら作品制作をする力が高まったと思います。

音の可視化という目に見えないもの、人に伝えづらい空想のものをテーマにしたので、自分の中ではっきりとイメージを作って、服として形にしていく中でそのイメージから離れていかないように意識しました。

コンセプトを大切にする作品作りを今後も続けていきたいです。

 

今回、装苑賞を受賞された大下さんは、昨年度( 2021 年度)翔工房に参加いただきました。

 

翔工房に参加したきっかけを教えてください

大学の先生に勧められたことです。

翔工房のことは高校生の頃から存じており、展示会に見に行ったこともありました。そのため興味はありましたしやってみたいと思っていたため参加しました。

 

翔工房で製作した作品「海夜」について教えてください

夜の海の神秘的な青や月明かりに照らされて輝く白い波をイメージして制作しました。

波の部分はカットジャガードで表現しており、人が着て歩くと波の白いフリンジが揺れて、夜の海の景色が想像できると思います。

 

製作の中で苦労した点はありますか

ただの青一色ではなく、水色やエメラルドグリーンを混ぜて海の深さを表現したり、波の白の部分にもラメ糸や意匠糸を使用して、たくさんの糸を使用したので糸選びでは苦労しました。

 

翔工房の経験は、それ以降の製作活動に影響しましたか

布から手がけて作品を作ったのは翔工房が初めてで、素材からこだわることの大切さを知りました。

その影響もあり、装苑賞でも黒い陰影を自分の手で素材から作ろうという考えに至ったのかもしれません。

 

将来の夢について教えてください

まだ明確には決められていませんが、手を動かして物を作ることや自分の世界観を作品として表現することが好きだということだけは揺るぎないため、その道に進めたらと考えております。

将来的には自分のブランドを持ってコレクションをやれるようなデザイナーになりたいです。さらに私の生み出す世界観に共感するファンができれば幸せなことだなと思います。

 

装苑賞や翔工房を目指す若い学生の皆さんにメッセージをお願いします

自分は何を作りたいのか、何を表現して相手に伝えたいのかを明確にすることが作品作りにおいて大切なことだと思います。

デザイン画が特別上手いわけではなくても、そのデザインに至った背景や根底のコンセプト部分が奥深くはっきりとしていれば相手に思いは伝わると思うので、是非自分の技術やセンスを上げるためにもコンテストに挑戦してみてください。

私もさらに精進して参ります。

 

 

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